【2025年版】Temuへの出店方法は?日本セラー向け「国内発送モデル」のメリットと注意点

EC市場で急速な拡大を見せる「Temu(テム)」ですが、日本国内の事業者向けに新たな配送モデル「Local-to-Local」が導入されたことはご存知でしょうか。2025年1月の公式プレスリリースでも発表された通り、本格的な国内セラー募集が始まっています。
「手数料0%」という魅力的な条件の一方で、厳格なルールや独特な商慣習が存在するため、参入には慎重な判断が求められます。本記事では、公的な調査レポートや専門メディアの情報を基に、Temu出店のメリットとリスクを客観的に解説します。
Temuの「Local-to-Local」モデルとは?
従来のTemuは、中国の工場から直接消費者に商品を届ける「越境EC」モデルが主流でした。しかし、日本市場への本格参入にあたり、日本国内の倉庫から商品を発送する「Local-to-Local」モデルが導入されています 。
国内発送モデルの仕組み
このモデルでは、日本の販売事業者(セラー)が国内倉庫に在庫を持ち、注文を受け次第、自ら国内配送業者を手配して消費者に届けます。
Local-to-Localモデルでは、セラーは単なる商品の供給者ではなく、物流の実行者としての責任を負う。
Temu Shipping Guide: How to Deliver with Temu (+ How Long It Takes) - ShipBob (米国の物流フルフィルメント大手「ShipBob」) https://www.shipbob.com/blog/temu-shipping-guide/
一言で言うと、「AmazonのFBA(倉庫に送ればあとは全部やってくれるサービス)のような仕組みがなく、注文が入るたびに自分たちで急いで梱包・発送しなければならない」ということです。
【比較表】越境モデルと国内モデルの違い
従来のモデルと何が違うのか、主なポイントを整理しました 。
| 項目 | 完全委託モデル (越境) | Local-to-Local (国内) |
|---|---|---|
| 在庫場所 | 中国国内のTemu指定倉庫 | 日本国内の自社倉庫/3PL(Third Party Logistics)物流部門全体を専門の外部企業に委託すること。TemuにはAmazonのような公式倉庫サービスがないため、自社で発送できない場合は3PL業者との契約が必要になる。 |
| 配送日数 | 5日〜20日 | 1日〜3日(国内標準) |
| 配送責任 | Temuが手配 | セラー自身が手配 |
| 関税/消費税 | 免税措置の対象となる場合あり | 消費税課税対象 |
このモデル転換の背景には、配送品質に厳しい日本の消費者のニーズに応え、Amazon等の「翌日配送」に対抗する狙いがあると分析されています 。
Temu出店のメリット(インセンティブ)
現在、Temuは日本国内のセラーを獲得するために強力な優遇措置をとっています。
販売手数料が0%:Amazon(8〜15%)や楽天市場と比較して、コスト構造上の大きな利点です 。
固定費無料:月額登録料や出店料がかかりません 。
広告費不要:集客はプラットフォーム側が行うため、セラー個別の広告出稿費用が発生しません 。
ただし、これらは初期の普及フェーズ限定の措置である可能性が高く、将来的な手数料導入や引き上げが通例である点には注意が必要です 。
【重要】知っておくべき3つのリスクと課題
「手数料無料」の裏側には、Temu特有の厳格な管理体制とリスクが存在します。これらを許容できるかが参入判断の分かれ目となります。
1. 厳格な配送スピードとSLA(Service Level Agreement)サービスの品質保証基準のこと。Temuでは「注文から24〜48時間以内の出荷通知」などが厳格に求められ、これを満たせないとペナルティ対象となる。
Temuは「スピード」を最重視しており、セラーには非常に高い物流レベルが求められます。
出荷期限:注文確定から24〜48時間以内に出荷通知(追跡番号の入力)を行う必要があります 。
追跡番号の必須化:定形外郵便などは事実上利用不可です。有効なトラッキング番号がない場合、売上が留保されたりキャンセル扱いになる恐れがあります 。
2. 価格調整ポリシーと利益圧縮
TemuにはダイナミックプライシングAIが需要や競合状況を分析し、リアルタイムで販売価格を変動させる仕組み。Temuでは頻繁な価格変動が起こるため、利益管理が難しくなる要因の一つ。に関連した独特の規定があります。
顧客が購入してから30日以内に同一商品の価格が下がった場合、その差額を顧客に返金・補填する仕組みである
What is Temu's price adjustment policy? - Temu Japan - Support Center & FAQ (Temu公式サポートページ) https://www.temu.com/jp-en/support/c3/what-is--price-adjustment--f-60-s-945.html
セラーがセールなどで一時的に値下げを行うと、過去30日間に購入した顧客全員に対して差額補填が発生するリスクがあり、利益管理が非常に困難になる可能性があります 。
3. 返品リスクと「返品なし返金」
Temuは消費者保護を重視しており、「90日以内の返品可能」を掲げています 。特に注意すべきは「返品なし返金(Returnless Refund)」です。低単価商品の場合、返品送料のコストを避けるため、商品は購入者の手元に残したまま返金処理だけが行われるケースがあります 。これはセラーにとって商品と売上の両方を失うリスクとなります。
出店に必要な準備と要件
実際に参入を検討する場合、以下の準備が不可欠です。
物流キャリアの選定
日本国内配送において、Temuが公式に連携・推奨しているのは以下のキャリアです 。
ヤマト運輸:配送品質が高く、顧客満足度重視の場合に推奨。
佐川急便:中型〜大型商品でコストメリットが出やすい。
日本郵便:小型商品や地方配送向け。
インボイス制度への対応
Temuでの販売は国内取引となるため、消費税法の適用を受けます。
適格請求書発行事業者番号:B2B需要を取り込むため、またプラットフォーム上の税額計算ルールに対応するために登録が重要視されています 。
本人確認(KYC):マネーロンダリング防止の観点から、法人・個人ともに厳格な身分証明書の提出が求められます 。
総評:Temuに出店すべき事業者、すべきでない事業者
Temu出店検討の判断材料として以下をご参考に。
✅ 向いている事業者
ノーブランド品を扱う事業者:価格競争になってもブランド毀損のリスクがないため。
過剰在庫を現金化したい事業者:在庫処分チャネルとして割り切って活用できる。
高度な物流体制を持つ事業者:24時間以内の即出荷に対応できるオペレーション能力がある。
⚠️ 慎重になるべき事業者
ブランドホルダー:安売り競争や類似品により、ブランドイメージが損なわれるリスクが高い。
ハンドメイド作家・小規模生産者:大量生産・大量消費を前提としたアルゴリズムと相性が悪い。
返品ロスに耐えられない事業者:「返品なし返金」等のリスク許容度が低い場合。
アクションプラン
もし参入する場合でも、全商品をいきなり登録するのではなく、利益率が高く配送トラブルの少ない商材でテストマーケティングを行うことが推奨されています 。また、撤退ライン(返品率や利益率の基準)をあらかじめ決めておくことが重要です 。
Temu公式セラー登録ページと申請手順
リスクとメリットを十分に検討し、出店を決断された事業者は、以下の公式セラーセンターから登録申請を行います。詐欺サイトや模倣サイトを避けるため、必ず公式ドメイン(seller.temu.com)であることを確認してください。
申請前に用意すべき書類リスト
登録プロセスはオンラインで完結しますが、途中で書類不備があると審査がストップします。以下の情報を手元に用意してから入力を開始することをお勧めします。
🏢 法人の場合
- 法人登記情報:正式名称、法人番号、本店所在地(登記簿謄本と完全に一致していること)
- 代表者の身分証明書:運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等(有効期限内のもの)
- 実質的支配者(UBO)の情報:氏名、生年月日、国籍
👤 個人事業主の場合
- 本人確認書類:顔写真付きの公的身分証明書
- 住所確認書類:公共料金の領収書や銀行明細など、居住実態が証明できるもの
- 納税者番号:マイナンバーまたはインボイス登録番号
審査期間と注意点
アカウント作成自体は約1分、情報の入力は約10分程度で完了します。その後、Temu側での審査が行われ、通常は1〜3営業日で結果が通知されます。
⚠️ よくある審査落ちの原因
- 提出書類の画像が不鮮明(光の反射や文字のかすれ)
- 入力住所と書類記載住所の不一致(「1-1-1」と「1丁目1番1号」の表記揺れなど)
- 過去にPinduoduoやTemu関連でアカウント停止措置を受けている
免責事項
本記事は2025年1月時点での公開情報および調査レポートに基づき作成されています。Temuのポリシー、手数料体系、法規制は予告なく変更される可能性があります。最終的な出店判断は、Temu公式サイトの最新規約をご確認の上、ご自身の責任において行ってください。
